両陛下の55回目の結婚記念ということで、美智子さまと童話『でんでんむしのかなしみ』のエピソードについて、シュウイチ!で紹介していました。

小さな頃に聞かせてもらったこの話が後々いくどとなく思い起こされ、「人生の複雑さを学んだ」という童話なのだそうです。

どんなお話かというと・・・
『でんでんむしのかなしみ』は、自分の殻の中に悲しみがいっぱいつまっているでんでんむしが、友だちに「生きていられない」と打ちあける。すると、”あなたばかりではありません。私の殻の中にも悲しみが詰まっています”とみんなが悲しみを持っていることを知り、”わたしはわたしのかなしみをかかえていかなきゃならない”と嘆くのをやめた、というお話です。


98年9月のビデオメッセージの中で、美智子さまがつぎのようなお言葉を話されていました。
゜゚*☆*☆*゚ ゜゚*☆
その頃 私はまだ大きな悲しみというものを知りませんでした

だからでしょう
 
最後になげくのをやめたと知った時
簡単にああよかったと思いました

しかしこの話はそのあと 何度となく思いがけないときに
私の記憶に蘇って来ました 少し大きくなるとはじめて聞いた時のようにああよかった だけでは済まされなくなりました生きていくということは楽なことではないのだという何とはない不安を感じることもありました
゜゚*☆*☆*゚ ゜゚*☆

番組で紹介された部分は上記のような抜粋だったのと何のときのスピーチだったのかよくわからなかったので、自分の中で消化不良になり、もう少し調べてみました。フリーアナウンサーの原元美紀さんがブログに「皇后さま15年越しの想い~でんでんむしのかなしみ~」と題して書かれていて、このスピーチ全文が、宮内庁のサイトで公表されていることを知りました。

このスピーチの中で、でんでんむしだけではなく子供のころに読んだ思い出深いさまざまな本の話をされていて、また後半には子供時代の読書とは何だったのかをお話するくだりがあるのですが、その中の一節が印象的でした。
 
私が,自分以外の人がどれほどに深くものを感じ,どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは,本を読むことによってでした。 

ふと、深く考えることとか、他人の痛みを感じることが少なくなってきてしまっているような気がするのは、デジタル世代になって読書することが少なくなってきているからなのかも知れないなあと。さらに、しめくくりの部分での一節では、「本への感謝をこめてつけ加えます」とした後のこの一節。
読書は,人生の全てが,決して単純でないことを教えてくれました。
私たちは,複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。 
読書についてあらためていろいろな思いを巡らせた朝でした。

このスピーチの全文、子育て中の方に読んでいただくといろいろな気づきがあるのではないかな~と思います。第26回IBBYニューデリー大会基調講演 
 
おわり。